【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで

薄暗い屋根裏部屋とサシャバル伯爵家では見られなかった景色をカトリーナは目で追っていた。
カトリーナはずっと景色を見たいと思ったが、夫人に言われた通りに本を読んで復習していた。
テーブルマナーにダンス、挨拶に国の歴史など、とても一カ月で覚えられるようなものではない。
こんなことをしても意味があるかどうかはわからないが、カトリーナは本を読み込んでいた。
しかし次第に肌寒さに自分の体を抱き込むようにして押さえていた。

(寒い……凍えてしまいそう)

サシャバル伯爵家は王都に近く温暖な気候だったが、話に聞いていた通り、やはりナルスティナ領は寒いのだろう。
馬車の中でも吐く息が白い。
シャルルに防寒のために持ってこようとした布を取り上げられてしまったため、身を守るものはない。
次第に指先が氷のように冷たくなり、本のページも捲れなくなってしまう。
カトリーナは目眩を覚えて壁に寄りかかるようにして目を閉じた。

それと同時に扉が開く。唇が青くなり震えている御者が顔を出した。
カトリーナは本が詰まったカバンを持って震える足を伸ばす。
階段を降りると、一面に白い絨毯があった。
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