【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
「声を掛けてくださればっ!このような天気の日は馬車の音が聞こえずにお待たせしてしまって……私の不手際ですね。私はゴーンと申します」


もう感覚のない足先や手先を擦り合わせながらカトリーナは自分の体が思った以上に冷え込んでいたことに気づく。


「さぁ、暖炉の前で温まってください。何か飲み物をお持ちしますね」

「あの……」

「ニナ、布を持ってきてくれ」

「かしこまりました」


ゴーンはすぐに温かい毛布を持ってくるように侍女に声をかけている。ニナと呼ばれた侍女は一礼して背を向けた。
カトリーナは暖炉の前にある椅子に座るように促されて、正しい断り方がわからずに口篭ってしまう。
髪や服からは雫が伝っていて、カトリーナは反射的に邸を汚すことになってしまったことに体をこわばらせた。

(邸の中を汚したら、罰を受けてしまう……!)

どうしようかと辺りを見回していると慌てたカトリーナの前に先程、ニナと呼ばれていた侍女が布を持って現れた。
そしてニナがカトリーナの濡れそぼった髪を拭こうと手を上げた瞬間に、カトリーナを目を瞑り、しゃがんでから手で顔と頭を守るように押さえた。
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