【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
「申し訳ございません……っ」

「え……?」

「す、すぐに片付けますので」


カトリーナを見て驚いているニナは布を持って固まっている。
部屋の奥からコツコツと鳴るブーツの音。真っ黒なローブのようなものを被った男性が現れる。


「…………なんの騒ぎだ」


氷のように冷たい声が耳に届いた。
怒りを含んだ低い声を聞いて、カトリーナはそのまま深々と頭を下げた。


「サシャバル伯爵家の娘……?この娘がか?」


いつものように粗相をした罰を受けるのだと思った。
カトリーナが頭を下げている間、ゴーンが先程のことを説明している。


「ふっ、そういうことか……噂で聞いた通り、なかなかいい性格をしているじゃないか」

「……?」


カトリーナはシャルルが社交界で悪い噂が流れていることは知っているが、どんな噂を流されているのかまではわからない。
シャルルから聞かされているのは、いつも自分がどれだけ優れているか……どれだけ周囲に評価されているかということだけだった。


「ずっと外で待っていたそうだな。戸を叩くことなく、その場で……。体調を崩したといって屋敷での対応に難癖をつけるつもりだったのか?それとも侍女に嫌がらせして評判を落とすつもりか?」

「……評、判?」
< 33 / 218 >

この作品をシェア

pagetop