【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで

不可解な状況にクラレンスは額を押さえた。
サシャバル伯爵達にこれ以外の荷物を持たせてはもらえなかったのだろう。
噛み合わない会話と噂とは違う行動。本だけを持って現れた少女。

この地が寒いことを知っていただろうに薄い生地の草色のワンピース一枚で現れて、恐らく貴族としての振る舞いを知らず、使用人として働くことに慣れている。
目の前にいる少女が〝シャルル〟ではないことは明らかだった。
聞いていた話と違うことにも合点がいく。
でなければオリバーやベル公爵を疑うことになってしまう。

医師が来るまでの間、クラレンスはニナとゴーンにそのことを話す。
やはりニナとゴーンもこの少女に違和感を持ち、別人ではないかと答えに行き着いた。

(この件について、早急に確認しなけば……)

しかし今日の夜からは雲行きが怪しなり、恐らく夜になるにつれて吹雪になるだろうと思っていた。
吹雪になれば邸から出られなくなってしまう。
早馬を届けるにしたとしても、天気によっては一週間ほどは身動きを取れない状態になることもある。
ナルスティナ領は猛吹雪が吹くこともある極寒の地。天気によって連絡が遅くなることが難点だ。
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