【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
その前に医師を呼べたのは幸運だろう。
医師を待っている間、少女に付き添っていたニナが今後のことを話し合っていたクラレンスとゴーンの元を訪れた。


「クレランス殿下にお知らせしたいことがあるのですが」

「ニナ、どうした?顔が真っ青だぞ……?」

「その……先程、倒れる前に着替えているところを見たのですが肌が傷だらけで……わたし、見ていられなくて」


そう言ってニナは両手で顔を覆って首を横に振った。
その他にもあまりの体の細さに思わず顔を背けてしまったそうだ。
濡れた服を脱いでいる際に鞭で叩かれたような跡が無数にあり、腕から手首はもっとひどかったのだという。

シャルル・サシャバルは両親から溺愛されて育っているはずだ。
今までシャルルが粗相をすれば夫人やサシャバル伯爵が誤魔化してきたそうだが、馬車で置き去りにされたことや暴力の跡をみれば大切にされていないことはわかる。

(やはり別人で間違いないな)

そう思うのに、クラレンスは気になることがあった。
この少女を見ているとサシャバル伯爵の面影がちらつく。
クラレンスはシャルルには会ったことはないが、各貴族の当主達とは顔を合わせたことがある。
サシャバル伯爵は中性的で端正な顔立ちをしていたように記憶している。
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