【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
「兎に角、栄養をきちんと摂ってください。何があったのか想像はできませんが今は休息をとることがいいと思います」
「…………」
「ですが一番に必要なのは心のケアかもしれません」
医師は少女を見て、暗い表情を浮かべながらそう言った。
クラレンスは言葉が出てこなかった。
扉をノックする音と共にトーマスが「そろそろ時間です」と声を掛ける。
包帯と傷薬を置いて医師は席を立った。
クラレンスはもう少し話を聞きたいと思ったが「また吹雪が止んだら様子を見に参ります」という医師の言葉に頷いた。
トーマスの「お早く」との言葉に医師は踵を返す。
外では雪が舞い始めて風も強くなってきている。
「ニナ、この娘が目を覚ましたら呼んでくれ」
「かしこ、まりました……っ」
ニナは鼻を啜り、ハンカチで目元を押さえながら頷いている。
クラレンスは部屋に戻り、少女のことを考えていた。
(どうするべきか……)
吹雪がやんだら、すぐに手紙を送り確認をした方がいいだろうと羽根ペンとインクを取り出して、ベル公爵と父に手紙を書いていた時だった。
遠くからニナの叫び声が聞こえた。
「──誰かっ、誰か来てください!」
クレランスはペンを置いて立ち上がった。テーブルがガタリと音を立てる。
黒いローブを羽織ると、慌てて声のする方へと駆け出した。
(クラレンスside end)