【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
扉を開こうと手を伸ばしたが、カトリーナはその場で崩れ落ちるように足から力が抜けてしまう。
そんなカトリーナの体を受け止めてくれたニナは体を支えながらホッと息を吐き出している。
「何事だ……!?」
「熱に浮かされたみたいで、働かなければと……ベッドに戻すのを手伝ってくださいませ」
バタンと開く扉の音と共にクラレンスやニナの声が遠くに聞こえたが、カトリーナはなんとか足に力を入れて踏ん張っていた。
(だめ……このままだと、また迷惑を。でも力が入らない)
何度も体を起こそうとするものの、全く力が入らずにニナにもたれかかったままになってしまう。
新しい場所にきた不安や見慣れない景色と環境、知らない人。
何もできなければシャルル達の言う通り、カトリーナはここから追い出されて、帰る場所もなく死んでしまうのだろう。
久しぶりに涙が溢れそうになったカトリーナは混乱からパニックになっていた。
今までどんな辛いことにも耐えられた。
容赦なく鞭で叩かれた背中や腕の傷がヒリヒリと痛む。
感じたことのない恐怖がカトリーナを追い詰めていく。
上手くやらなければと思うほどに体が動かなくなる。
こんな気持ちになったのは、はじめての経験だった。