【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
目の前にいるニナの姿が、サシャバル伯爵夫人と重なった。


「ぁっ……!……ッ」


そんな時、大きく目を見開いたまま体をこわばらせたカトリーナを何かが包み込む。
視界は真っ暗になり、息を止めた。
冷たくて温かい……そんな不思議な感覚だった。


「落ち着け、大丈夫だ」

「……っ!?」

「ここでは、誰もお前を傷つけたりしない」


焦りから冷たかったはずの肌から熱が伝わるようにして温かくなっていく。
思い出すのはカトリーナが屋根裏から出ることなく母と暮らしていた頃。
どうしても母に触れたくて寝ている時にこっそりと寄り添っていた。
腕の中に入り、温もりが伝わると自分が愛されているような気がして嬉しかったのだ。
その時のことは今でもよく覚えていた。

自然と心が落ち着いたカトリーナは無意識にクラレンスに擦り寄るようにして体に寄りかかった。
安心感からカトリーナは久しぶりに幸せな気持ちで目を閉じた。


* * *


(……ここは?私、一体)

目を覚ますと見慣れない天井があって、しばらくはボーっとその場所を見つめていた。
声が聞こえて首を横に傾けると、真っ白なシーツに赤毛が散らばっている。
ニナがカトリーナが寝ているベッドにうつ伏せになるようにして眠っている。
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