【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
どうすればいいかわからない焦りからカトリーナは口籠ってしまいうまく言葉を紡げない。

すると扉を叩く音が聞こえた。
ニナが返事をして扉を開くと、そこには黒いローブに身を包んだ恐らく男性と最初に出迎えてくれたゴーンがいた。

カトリーナはじっとローブに身を包んだ男性を見つめていた。
気を失う前に感じた温もりを思い出す。
しかし、すぐに視線は逸れてしまったようだ。


「ニナ、様子はどうだ?」

「お水は飲まれたのですが、食事は働いてからでなくては食べないと頑なでして……」

「…………そうか」  

「お名前もまだ教えていただいておりません」


ゴーンが目頭を押さえて首を横に振りながら「おいたわしい」と呟いている。
カトリーナはシーツをグッと握りながら考えていた。
『あんたなんてすぐに捨てられて終わりよ!』
『サシャバル伯爵家の娘はやったんだから約束は守ったことになる。あとはお前がどうなろうと知ったことじゃないわ』
『せいぜい頑張りなさい。まぁ、無理だと思うけど』
うまくできなければ捨てられると、シャルルやサシャバル伯爵夫人にそう何度も言われていた。
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