【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
黒いローブを着ているクラレンスがカトリーナの前に膝をついて手をそっと取った。
手袋をしているのにひんやりと冷たい指先が気持ちいいと感じる。


「まずは非礼を詫びよう。ひどいことを言ってすまなかった」

「…………?」


カトリーナは非礼とは何のことなのかわからなかった。
いつも罵倒されすぎて、暴言に慣れていたカトリーナにとってはクラレンスに責められたことはひどいことのうちに入らない。

(非礼……最初に私に言ったこと?でも、あれは勘違いだろうから)

グルグルと何を言えばいいか考えていたカトリーナはうまく言葉が出ずに戸惑っていた。
黒いローブの隙間からは不機嫌そうなオーラが滲み出ているような気がして体がますます固くなる。


「おい……なんとか言え」

「…………申し訳、ございません」

「俺は謝って欲しいわけじゃない。質問に答えろ」

「クラレンス殿下っ!初めて会う方や女性に対しては、もう少し言葉を選んでくださいと、いつも申し上げているではありませんか!」

「すまない……」

「怖がらせてはいけません!」
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