【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
ニナがカトリーナを庇うように手を広げる。
カトリーナは改めてクラレンスを真正面から見た。

(呪われた王子……この人が)

深く被ったフードの帽子からは目元も表情も何も見えることができない。 
何も言わないカトリーナに困った様子のクラレンスは咳払いをする。


「ゴホン……俺はクラレンス、この邸の主人だ。お前の本当の名前を教えてくれ」

「…………」

「シャルル・サシャバルではないのだろう?」

「申し訳……ございません」

「謝る必要はない。お前は誰だ?」


この問いに答えたら、もうここにはいられない……だが、ここで一番偉いであろうクラレンスに逆らうわけにはいかない。
それはカトリーナにも理解できている。
カトリーナの脳裏にはサシャバル伯爵達の顔がチラついたが、暫く考えてから震える唇を開いて自分の名前を口にした。


「私は…………カトリーナと申します」

「カトリーナ……そうか、カトリーナ。俺はお前のことが知りたい」

「え……?」
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