【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
カトリーナはクラレンスの予想外の言葉に顔を上げた。


「私を、追い出さないのですか?」

「俺は追い出すとは言っていない。それにこの吹雪の中、外に出れば凍えてしまう」

「……」


カトリーナは首を動かして窓に目を向ける。
吹雪とは何かよくわからないが、とりあえずは外に出れば自分は死んでしまうのだろう。
何故、当たり前のようにカトリーナを受け入れてくれるのか……その理由がわからない。


その言葉を聞いてニナ達は目を合わせている。
カトリーナがそう告げたタイミングで空っぽのお腹がぐーと大きな音を立てた。


「腹が減っているのだろう?」

「はい」

「どうして手をつけない?味が気に入らなかったか?」

「働かなければ食べてはいけません。約束を破れば次の日、働いても食事をもらえません」

「…………!」

「何か私にできることはありますか?何でもやります」


カトリーナの言葉にクラレンスは頭を押さえて溜息を吐いた。
カトリーナはクラレンスの指示を待っていた。


「ならば、食え」

「……?」

「それが今のお前の仕事だ」

「…………私の、仕事?」

「そうだ」


クラレンスの表情が見えない。
形のいい唇が動くのを口元だけが見えた。
発せられる言葉は高圧的に聞こえるが声色は優しく感じた。
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