【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
そう言ってクラレンスはまたカトリーナの頭を撫でる。
カトリーナは暫く雪で作られた兎を手のひらにのせたり、鹿に触れたりと「わぁ……」と子供のように声を漏らして観察していた。

ここでは感情も声も抑える必要はないとクラレンスに言われて、初めは疑っていたカトリーナだったが、本当に何もされることはない。
一度、ニナに「ここは天国でしょうか?」と聞いてしまったくらいだ。

カトリーナは真っ赤になった指先を見て手を擦る。
続けてくしゃみをしたのを見て、クラレンスが「そろそろ中に入るぞ」と言ってカトリーナを促した。

カトリーナはニナやゴーンに雪でできた美しい兎を見せたくて、手のひらの上に乗せながら邸の中に入った。
真っ黒なローブから出てきた白い手袋をはめた大きな手のひらがカトリーナの肩についた雪をそっと払う。


「楽しかったか?」

「はい、とても」

「そうか、ならいい」

「美しい景色を見せてくださって、ありがとうございます」

「……ああ」


クラレンスが微笑んだ気がしてカトリーナは顔を上げた。
しかし気のせいかと思い視線を戻す。
すると手のひらからポタポタと水滴が垂れていく。
焦ったカトリーナは「ウサギが……!」と言ってクラレンスに訴えかける。
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