【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
本人は無意識なのだろうがカトリーナは最近よく笑うようになった。
兎を色々な角度から眺めては嬉しそうにしている。
それを見たクラレンスもまた笑みを浮かべていた。
クラレンスを側で見ていたニナ達にとって、とても大きな変化に見えた。

クラレンスもこうして人のために魔法を使うことなど今まで一度もなかった。
それはクラレンスが自分の魔法に対して苦手意識があり、制御しているように感じていたのだが、カトリーナの前では惜しげもなく魔法を披露して彼女が喜びそうなものを作っている。
それはカトリーナがクラレンスに対して微塵も恐怖心を抱いていないからだろうか。
無知だからかもしれないが、クラレンスの魔法の力を知ったとしてもカトリーナの態度は変わらない。

そしてカトリーナも邸に来た時はあんなにも身を小さくしていたのに、今では目を合わせて話せるようになっている。
信頼関係ができあがるのと同時に「申し訳ありません」よりも「ありがとうございます」ということも増えたように思う。

楽しそうに話すカトリーナとクラレンスを見て、ニナとゴーンは温かい気持ちになった。


「まるで、お互いの凍っていた心が溶けていくようですね」

「えぇ、そうですね」

「どうか二人が幸せになれますように……」


ニナはそう言って手を合わせた。
< 95 / 218 >

この作品をシェア

pagetop