【書籍化】もふもふ聖獣と今度こそ幸せになりたいのに、私を殺した王太子が溺愛MAXで迫ってきます
キャシディがそう言った瞬間、ニタリとマレーの口元が歪んだ気がした。
キャシディの部屋には出会った時と同じように大蛇の黒い影が映っていた。
『……ソノネガイ、カナエヨウ』
マレーの言葉にキャシディは一瞬だけ恐怖を感じたが、またいつものようにすぐに解決するだろうと、安心感からホッと息を吐き出した。
レオナルドの婚約者はキャシディ以外はありえない。消えなければならいけないからだ。
「ウフフ……よかったわ。舞踏会が楽しみね」
『ソウダナァ』
キャシディは暴れてぐちゃぐちゃになった部屋を侍女に片付けてもらいながら微笑んでいた。
(舞踏会のドレスは契約の儀と同じ同じ赤色にしましょう。きっとレオナルド殿下もわたくしのことだけを見てくださるわ)
キャシディは窓ガラスに映った自分自身と目が合った。
瞳の色が血のように赤く染まっていることに気づいて目を擦った。瞼を開くとエメラルドグリーンの瞳に戻っていた。
そして窓には白い体にエメラルドグリーンの瞳の蛇がキャシディを見つめていた。
「え……?」
キャシディが振り向くと、そこにはマレーの姿があった。
目の色を見間違えただけかと思ったが、何かが変わった気がして手のひらを見たが、もう何もいない。
(気のせい、なのかしら……?)
キャシディは窓に視線を戻した。
舞踏会は必ずキャシディの欲しいものを手にしてみせる。
そんな決意を胸に欠けた月を見つめていた。
(キャシディside end)