【書籍化】もふもふ聖獣と今度こそ幸せになりたいのに、私を殺した王太子が溺愛MAXで迫ってきます
『この女は力を取り戻すために随分と役立ってくれたが、もう不要だ……』
「どういう意味だ!」
レオナルドの声が怒りからか震えている。
グレイシャーの低い唸り声が聞こえた。
『グレイシャー、久しいな。魔獣から国を守るために力を失い続け、もう喋れもしないのか。やはりフラムを亡くしたのは大きいようだな』
「フラム……?」
フラムとは女神ロドアルードに仕えていた神獣の名前だった。
銀の神獣グレイシャーともう一匹、金の神獣フラムがいる。
フラムはロドアルード王国を守るために亡くなり、今残っているのは銀の神獣グレイシャーだけだと言い伝えられている。
『しかしフラムの力を受け継ぐ神獣が生まれた。力が弱いうちは我に見つからないように聖獣になりすましているとは恐れ入った』
「一体、何を……」
『その小さな毛玉が〝フラム〟なのだろう? 隠していていても我にはわかるぞ!我の力にも屈することなく意識を保っているのがその証だ』
マレーの視線の先にはフランチェスカに抱えられていたシュネーの姿があった。
それにはレオナルドもフランチェスカも驚きを隠せなかった。
絵画や絵本などでも女神ロドアルードが従えている銀の神獣グレイシャーと対になって描かれていることの多い、金の神獣フラムがフランチェスカが抱えられるくらい小さい体をしたシュネーだということに。
シュネーがグレイシャーになると思うと信じられない気分だった。