【書籍化】もふもふ聖獣と今度こそ幸せになりたいのに、私を殺した王太子が溺愛MAXで迫ってきます
キャシディの言葉に先程の令息達は苦虫を噛み潰したような表情で去って行く。
容赦なくフランチェスカを潰そうとする令嬢達の声を久しぶりに聞いて冷や汗が滲む。
思い出すのは過去のはずなのに、フランチェスカの脳裏に焼きついている悲しみの記憶。
こうしてフランチェスカが笑われていたとしても誰も助けてくれる人はいない。
先程の令息達もそうだ。ただ見ているだけ。

シュネーがいないこの状況がフランチェスカの不安を更に煽る。
顔を伏せたフランチェスカの耳に届くのは以前と変わらない悪意に満ちた言葉だけだった。
このまま黙って時がすぎるのを待つしかない。
そう思っていたフランチェスカが涙を堪えながら耐えているとどこからかフランチェスカを庇う声がかかる。


「フランチェスカ嬢が困っている。それにこんなところで立ち止まっていては迷惑になってしまうのではないか?」


アイスグレーの髪がライトで光輝いて見えた。優しい声色で久しぶりに呼ばれた名前。
スカイブルーの瞳と目があった瞬間にフランチェスカは笑顔を作ることも忘れて魅入られたように動けなくなった。 
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