【書籍化】もふもふ聖獣と今度こそ幸せになりたいのに、私を殺した王太子が溺愛MAXで迫ってきます

誰も助けてはくれない。
フランチェスカが絶望感に打ちひしがれていた時、カラカラと剣が床に落ちる大きな音が会場に響いた。
フランチェスカの体が抱き抱えるようにして持ち上げられる。


(……レオナルド殿下?)


彼の瞳は赤い色から、いつものスカイブルーに戻っていった。けれどもう名前すら呼べそうになかった。


「……フラン、チェスカ?」


レオナルドは目を見開いている。彼の声が耳に届いたのと同時に震える指がフランチェスカの頬を滑る。
スカイブルーの瞳から涙が溢れて、頬に一筋伝っているのがスローモーションのように見えた。
レオナルドが何かを必死に言っているのが見えたがフランチェスカはもう目を開けることができずに瞼を閉じる。


「──フランチェスカッ!」


どうしてこんなことになってしまったのか。
今まで積み重ねてきた思い出が走馬灯のように頭の中を流れていく。
涙が溢れて視界が歪んだ。レオナルドに抱き締められているのだと気づいた時にはもう痛みは消えていた。


「君─ひとり────。俺も──に───」

「…………?」

「───る。フランチェスカ……すまない」


レオナルドが何かを必死に言っていたが、所々しか聞き取ることができなかった。
フランチェスカの目の前で眩い白銀の光が弾け飛んだような気がした。
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