壊れてしまった宝物
「僕、もう仕事が終わるんです。よければ一緒にご飯を食べませんか?」
「えっ?」
突然の誘いに理沙は戸惑う。律は緊張したように続けた。
「実家から大量に野菜や魚が送られてきて、なかなか消費できてないんです。……ご迷惑でしたか?」
保育士の家にズカズカと入り込むなど、他の母親に見られたら何を言われるかわからない。理沙は「ご迷惑になると思うので」と断ろうとしたのだが、傍らにいたはずの空は律に駆け寄っていた。
「先生とご飯一緒に食べられるの?食べたい!お母さん、一緒に食べようよ!」
無邪気な笑顔でそう言われ、断れる空気ではなくなってしまった。理沙は辺りを見回し、誰もいないことを確認した後、「では、お邪魔させてください」と言う。
「はい。荷物持って来ますね」
律は一旦教室の奥へと戻り、つけていたエプロンを脱ぎ、鞄を手にやって来る。そして、律の住んでいるマンションへと案内された。保育園からそれほど遠くなく、まだ新しくできたばかりのマンションである。
「えっ?」
突然の誘いに理沙は戸惑う。律は緊張したように続けた。
「実家から大量に野菜や魚が送られてきて、なかなか消費できてないんです。……ご迷惑でしたか?」
保育士の家にズカズカと入り込むなど、他の母親に見られたら何を言われるかわからない。理沙は「ご迷惑になると思うので」と断ろうとしたのだが、傍らにいたはずの空は律に駆け寄っていた。
「先生とご飯一緒に食べられるの?食べたい!お母さん、一緒に食べようよ!」
無邪気な笑顔でそう言われ、断れる空気ではなくなってしまった。理沙は辺りを見回し、誰もいないことを確認した後、「では、お邪魔させてください」と言う。
「はい。荷物持って来ますね」
律は一旦教室の奥へと戻り、つけていたエプロンを脱ぎ、鞄を手にやって来る。そして、律の住んでいるマンションへと案内された。保育園からそれほど遠くなく、まだ新しくできたばかりのマンションである。