不滅のユースティティア。
机が、食器が、棚が、お庭が。
ぜんぶぜんぶ灰色で黒焦げ。
ああもうなんでって、それしか思えなくて。
そこで途切れたと思ったら、じつはまだ続きがあった。
「わたし……抱っこ、されてた」
「…ルスか」
「……ちがう……、男の子、」
「……男の子…?」
「あなたと同じ髪の…、男の子に……抱っこされて、その子、山奥にね…、走っていくの」
どこに行くの?
おにいちゃん、どこにいくの?
って、私は何も分からないまま思っていたような気がする。
背中に広がった大きな太陽が、真っ赤に燃えた太陽が、私には綺麗なものに見えて。
そこから離れていくのが嫌で必死に手を伸ばしたんだけれど、落ちてくるものは涙だった。
────………おにい、ちゃん…?
「あなたは…私の───」
「それは夢じゃない」
「っ!」
「夜巳さんはいない。お前の家も、今はない」