御曹司は初心な彼女を腕の中に抱きとめたい
【今週の金曜は実験がひと段落したから早く帰れそうなんだ。また食べに行かないか?】

あれから薬の実験が始まり、効果を見るためにつきっきりで研究所に篭ってると言っていた。簡単にいうとがんの薬を開発してるんだ、と前に聞いた。初めに聞いた時にあまりの難しさに理解ができず、奥山さんは噛み砕いてそう教えてくれた。
トンカツを食べてから3週間経っていたが、メッセージのやりとりをしていたので久しぶりと感じない。

【お疲れさまです。もちろん行けます】

私がすぐに返信すると奥山さんもすぐにまたメッセージが返ってきた。

【今度は何を食べようか? 希望はある?】

うーん、何にしようかな。でもこの前は私の希望だったから今度は奥山さんの好きなものがいいかなと思い返信すると、考えておくと返事が来た。
金曜日が楽しみで今からウキウキとし始めた。
そんな私の姿を見てまた美和はため息混じりに声をかけてきた。

「本当にあの人大丈夫なの?」

「うん。いい人だよ」

「そんなにすぐ信用してはダメ。何かあったらすぐに貴人(たかと)と駆けつけるから連絡してね」

貴人くんは美和の彼氏。大学の同級生で付き合ったり別れたりを繰り返していたが、また最近付き合い始めた。私も一緒にご飯を食べに行ったりしたが、気さくでとてもいい人だった。物腰が強い美和を包み込むような温かい人でお似合いだと思った。

「分かった。何かあったらすぐ美和に相談するから」

心配そうな顔の美和は、絶対だからねと念を押してきた。
< 12 / 60 >

この作品をシェア

pagetop