御曹司は初心な彼女を腕の中に抱きとめたい
「蒼生さん、こんなすごいところに予約したんですか?」
「あぁ、いつもみちるにはご飯作ってもらったりしてもらっているお礼だ。それになかなか会えないからふたりでゆっくり出来るところに来たかったんだ」
だからと言って私たちにはだいぶ敷居が高いように思う。けれど、先ほどのスタッフの対応や彼の場慣れ様子を見るに、かなりここに来ているのだと分かる。
彼を知ったつもりになっているだけで、私の知っている彼は氷山の一角なのかもしれない。彼を信じたいのに、何故か心の底からの信頼が揺らいでしまった。私の知る彼が全てであって欲しいと思う反面、そこはかとない不安が私の心を占めてしまった。
「みちる、温泉に入らないか?」
「あ、うん」
彼が障子を開けると露天風呂がついていた。部屋に露天風呂があるなんて信じられない。
蒼生さんに背中を押され、近づいてみると金木犀の香りがした。外の庭に植えられ、今見頃を迎えていた。
「素敵……」
「そうだろ? 早く入ろう」
彼はそう言うと私の目の前で洋服を脱ぎ始めた。
「ちょっと!」
思わず彼の裸から顔を背けると声をあげ笑っていた。そして私の服も脱がされ、一緒に入ることになってしまった。
彼は一体何者なのだろうと疑問に思いながらも流されてしまった。
久しぶりに過ごすこの時間が何にも変えがたく、疑問をぶつけられずになってしまった。
ただ、ふたりでのんびり過ごしリフレッシュした旅行となった。
お会計はすでに済まされてもおり、私はいくらかわからなかった。彼に払うと伝えても、いつものお礼だと言っただろうと言われてしまうと強くは言えない。どうしても聞きたいことを聞けないのは私との関係がそこまで強固ではないからなのか、私が彼に嫌われたくないから聞きたいことを聞けないのか。どうして彼に聞きたいのに聞けないのかがわからなかった。
せっかくの楽しい旅行でのんびり過ごしてきたのに、自宅に帰ってきたらソファに座り込み考えてしまった。私のパーソナルスペースに彼はどんどんとはいってくるが、私は彼をどのくらい知っているのだろうとふと考えた。私は彼の家も知らない。私が聞けばいいのかな。行きたいって言えばいいのかな。なんとなく忙しい彼に合わせて私のマンションで過ごすのが決まりのようになっていた。彼のタイミングでうちに来て、私はいつでもそれを受け入れてばかりだと思った。初めて付き合った彼なので何が普通かわからない。付き合い方なんてみんな違うのかもしれない。彼は私のマンションに無神経に出入りする訳ではないし、外食に誘ってくれることも、今日のように旅行に連れ出してくれたりもする。だからこそ不満なんてなかった。
でも……、私が曝け出して彼を受け入れているのに、彼は私に全てを見せてくれている訳ではないのだと感じたことが悲しいんだとようやくわかった。付き合うってお互いのいいところも悪いところも全て出せるものなのだと思っていた。それに私は付き合う人とそう言う関係を築きたい。
「あぁ、いつもみちるにはご飯作ってもらったりしてもらっているお礼だ。それになかなか会えないからふたりでゆっくり出来るところに来たかったんだ」
だからと言って私たちにはだいぶ敷居が高いように思う。けれど、先ほどのスタッフの対応や彼の場慣れ様子を見るに、かなりここに来ているのだと分かる。
彼を知ったつもりになっているだけで、私の知っている彼は氷山の一角なのかもしれない。彼を信じたいのに、何故か心の底からの信頼が揺らいでしまった。私の知る彼が全てであって欲しいと思う反面、そこはかとない不安が私の心を占めてしまった。
「みちる、温泉に入らないか?」
「あ、うん」
彼が障子を開けると露天風呂がついていた。部屋に露天風呂があるなんて信じられない。
蒼生さんに背中を押され、近づいてみると金木犀の香りがした。外の庭に植えられ、今見頃を迎えていた。
「素敵……」
「そうだろ? 早く入ろう」
彼はそう言うと私の目の前で洋服を脱ぎ始めた。
「ちょっと!」
思わず彼の裸から顔を背けると声をあげ笑っていた。そして私の服も脱がされ、一緒に入ることになってしまった。
彼は一体何者なのだろうと疑問に思いながらも流されてしまった。
久しぶりに過ごすこの時間が何にも変えがたく、疑問をぶつけられずになってしまった。
ただ、ふたりでのんびり過ごしリフレッシュした旅行となった。
お会計はすでに済まされてもおり、私はいくらかわからなかった。彼に払うと伝えても、いつものお礼だと言っただろうと言われてしまうと強くは言えない。どうしても聞きたいことを聞けないのは私との関係がそこまで強固ではないからなのか、私が彼に嫌われたくないから聞きたいことを聞けないのか。どうして彼に聞きたいのに聞けないのかがわからなかった。
せっかくの楽しい旅行でのんびり過ごしてきたのに、自宅に帰ってきたらソファに座り込み考えてしまった。私のパーソナルスペースに彼はどんどんとはいってくるが、私は彼をどのくらい知っているのだろうとふと考えた。私は彼の家も知らない。私が聞けばいいのかな。行きたいって言えばいいのかな。なんとなく忙しい彼に合わせて私のマンションで過ごすのが決まりのようになっていた。彼のタイミングでうちに来て、私はいつでもそれを受け入れてばかりだと思った。初めて付き合った彼なので何が普通かわからない。付き合い方なんてみんな違うのかもしれない。彼は私のマンションに無神経に出入りする訳ではないし、外食に誘ってくれることも、今日のように旅行に連れ出してくれたりもする。だからこそ不満なんてなかった。
でも……、私が曝け出して彼を受け入れているのに、彼は私に全てを見せてくれている訳ではないのだと感じたことが悲しいんだとようやくわかった。付き合うってお互いのいいところも悪いところも全て出せるものなのだと思っていた。それに私は付き合う人とそう言う関係を築きたい。