お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
言われてみると、ちょっと……いや、かなり顔色が悪いわね。
早く何とかしてあげないと、凍死してしまいそう……。
「魔力暴走を止めるためには、どうしたらいいんですか?」
活路を見出そうと救済条件について尋ねると、公爵は難しい顔つきで口を開く。
「全ての魔力を出し切るか、本人を正気に戻すか……だな」
「気絶させて、強制的に戦闘不能状態へ追いやるのは……?」
『意識を奪ってしまえばいいのでは?』と提案する私に、公爵は首を横に振った。
「ダメだ。先程も言ったように魔力暴走は自分の意思に関係なく、魔力を垂れ流している状態。例えるなら、蛇口を開けたまま放置しているようなもの。だから、中身を空っぽにするか自分の意思で蛇口を閉めるかしないと止まらない」
「そんな……」
漫画にありがちな方法が通じないと知り、私は頭を悩ませる。
『一体、どうすればいいのか』と自分に問う間にも、刻々と時間は過ぎていき……小公爵の魔力暴走は勢いを増していった。
それに比例するかの如く、顔色も悪くなっていく。
こちらは公爵のおかげで寒さが和らいでいるため、まだ大丈夫だが……小公爵の方は吹雪の影響をもろに食らっている筈。
もう一刻の猶予もなかった。
早く何とかしてあげないと、凍死してしまいそう……。
「魔力暴走を止めるためには、どうしたらいいんですか?」
活路を見出そうと救済条件について尋ねると、公爵は難しい顔つきで口を開く。
「全ての魔力を出し切るか、本人を正気に戻すか……だな」
「気絶させて、強制的に戦闘不能状態へ追いやるのは……?」
『意識を奪ってしまえばいいのでは?』と提案する私に、公爵は首を横に振った。
「ダメだ。先程も言ったように魔力暴走は自分の意思に関係なく、魔力を垂れ流している状態。例えるなら、蛇口を開けたまま放置しているようなもの。だから、中身を空っぽにするか自分の意思で蛇口を閉めるかしないと止まらない」
「そんな……」
漫画にありがちな方法が通じないと知り、私は頭を悩ませる。
『一体、どうすればいいのか』と自分に問う間にも、刻々と時間は過ぎていき……小公爵の魔力暴走は勢いを増していった。
それに比例するかの如く、顔色も悪くなっていく。
こちらは公爵のおかげで寒さが和らいでいるため、まだ大丈夫だが……小公爵の方は吹雪の影響をもろに食らっている筈。
もう一刻の猶予もなかった。