お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
魔力切れをまったり待っている場合じゃないわね。
小公爵の魔力量が如何ほどか分からないけど、今すぐ尽きるようなことはないでしょう。
もし、そうなら公爵がこんなに焦った顔をしないもの。
となると、残る方法は小公爵を正気に戻すことだけだけど……一体、どうすればいいのかしら?
魔力暴走なんて初めて見た私は、戸惑いを隠せない。
でも、何とか自分に出来ることを探そうと必死だった。
魔力暴走って、謂わば我を忘れている状態よね?
なら、対話を試みても無駄な筈……。
まず、こちらの話を聞こうとも思わないだろうから。
そういう時は感情を発散し切るまで、放っておくのが吉だけど……それじゃあ、手遅れになっちゃうし……。
などと考えていると、不意に────ある記憶が甦る。
それは山下朱里の時に見掛けた、小児科での光景。
とある難病持ちの小学生がキッズスペースで癇癪を起こした際、母親と思われる付き添いの人が突然手を叩いのだ。
それも、小学生の眼前で。
すると、小学生は怒るのも忘れてポカンとしていた。
完全に予想外の行動だったからか、思考や感情が追いついてこなかったらしい。
その後、小学生は『なんだよ、それ!』とケラケラ笑いながら大人しく遊んでいた。
小公爵の魔力量が如何ほどか分からないけど、今すぐ尽きるようなことはないでしょう。
もし、そうなら公爵がこんなに焦った顔をしないもの。
となると、残る方法は小公爵を正気に戻すことだけだけど……一体、どうすればいいのかしら?
魔力暴走なんて初めて見た私は、戸惑いを隠せない。
でも、何とか自分に出来ることを探そうと必死だった。
魔力暴走って、謂わば我を忘れている状態よね?
なら、対話を試みても無駄な筈……。
まず、こちらの話を聞こうとも思わないだろうから。
そういう時は感情を発散し切るまで、放っておくのが吉だけど……それじゃあ、手遅れになっちゃうし……。
などと考えていると、不意に────ある記憶が甦る。
それは山下朱里の時に見掛けた、小児科での光景。
とある難病持ちの小学生がキッズスペースで癇癪を起こした際、母親と思われる付き添いの人が突然手を叩いのだ。
それも、小学生の眼前で。
すると、小学生は怒るのも忘れてポカンとしていた。
完全に予想外の行動だったからか、思考や感情が追いついてこなかったらしい。
その後、小学生は『なんだよ、それ!』とケラケラ笑いながら大人しく遊んでいた。