いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
「麻衣子と再会した日は、同僚の見舞いに来ていたんだ。まさか麻衣子がいるとは思わなかったから、驚いたよ……だが会えてよかった」 

 裕斗はそっと目を伏せた。

 麻衣子は無言を返すことしかできなかった。

「四年前、別れを告げられたときは酷く混乱した。他の男の話をされて腹が立っているのに、プライドが邪魔をして怒ることもできずに、引き下がってしまったんだ。冷静になってからも、気持ちが離れてしまったのなら諦めるしかないと割り切ろうとした。その後、
結局諦めきれずに、電話をしたら解約されていて愕然としたよ」
「え……私に連絡を?」

 驚く麻衣子に、裕斗が頷く。

「ああ。一時帰国したときは麻衣子の実家を訪ねた。転居をして手がかりがなくなって、麻衣子との縁が完全に切れたのを感じたが、それでもずっと忘れられずにいた……今でも君が好きなんだ」

 裕斗が強い意思を感じる眼差しを向けてくる。麻衣子の心臓がドクンと跳ねた。

「今日来て貰ったのは、俺が今でも麻衣子を想っているということを伝えたかったからだ」
「ま、まさか、そんな……」

「あれから何年も経っているんだ。麻衣子が今、どんなふうに過ごしているのか俺は知らないし、そんな状況で蒸し返しても困らせると分かっていた。それでも、この機会を逃したら、ようやく繋がった縁が今度こそ絶えてしまうかもしれない。物分かりがいいふりを
して本音を隠し、大切なものを失ってしまった。そんな後悔はもう二度としたくないんだ」

 裕斗の真摯な態度から真実を訴えているのだと伝わってくる。

「あの……ごめんなさい、頭が混乱していて……酷い別れ方をしたから、裕斗さんは私に呆れていると思っていたのに……」

 憎まれていてもおかしくないと思っていた。 

「戸惑うのは当然だ。それに麻衣子に事情が有ったのも察している」
「え?」
「居所を簡単に探し出せないようにしていただろ? 俺を避けるためだけに、そこまで用心するとは思えない。なにかトラブルが遭って引っ越しをしたんじゃないのか?」

(そこまで知ってるなんて……裕斗さんが探していたって言ったのは本当だったんだ)

 自分が思っていた以上に、彼は麻衣子を想ってくれていたのだ。

「……いろいろあって。引っ越しをしたのは、前の家に住めなくなったんです」
< 105 / 134 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop