いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
「裕斗さんが知らなかったのは、私が言わなかったから」
「だがそれは、麻衣子が俺を想ってくれてのことだろう?」
「それは……でも正しい行動だったのか分からない」
「それは俺だって同じだ。あのとき、別れを告げられたとき、麻衣子の気持ちを変えられたかもしれないのに、俺はそれができなかった。別れていなかったら麻衣子に苦労をかけることもなかった。今頃は家族で暮らしていたかもしれなかった」

 裕斗が寂しそうに目を伏せる。彼の孤独が伝わってくるような気がして、麻衣子の胸がずきずきと痛む。

「……子供たちに会わせてもらえるか?」
「はい。ただ、子供たちは裕斗さんのことを知らないから、父親と名乗るのは待ってほしいの」
「もちろん分かってる。それは麻衣子の判断に任せるから」
「ありがとう……」

 裕斗と子供たちの対面は、三日後日曜日になった。麻衣子も子供たちも休日だから、ショッピングセンターで待ち合わせをすることにした。

 裕斗の心の準備ができるのか心配だったが、半月後にスイスで国際海外あるらしく、現地でもスケジュールが詰まっているので、なかなか連絡が取れないそうだ。

 三つ子には麻衣子の友人と会うと説明することになった。

 当日の朝九時。麻衣子は三つ子をミニバンに乗せてショッピングセンターに向かった。

 駐車場に車を止めて、三人を下ろす。開店時間は十時なので、一時間ほどは周囲をのんびり散歩することにした。

「きょうは、ママのともだちとあそぶの?」

 麻衣子としっかり手をつなぐ小春が訪ねてきた。

「そうよ。ママがイギリスの学校に通っていたときのおともだちなの。小春も仲よくしてね」
「うん、がんばる」

 小春は人見知りだから、少し不安なようだ。麻衣子と兄たちが一緒だから怖がってはいないが、緊張はしてしまう。
 大樹と柚樹は平然としている。むしろ日曜の朝から外出出来て喜んでいる様子だ。

「ママのともだちって、はしるのはやい?」

 大樹がわくわくした様子で聞いてくる。

「早いと思うよ」

 裕斗が全力疾走しているところを見たことはないけれど、ロンドンにいるときもジムに通っていたし、反射神経もいいから走るのも早い方だろう。

「ぼくはバスケットをおしえてもらいたいな」

 最近の柚樹はバスケがお気に入りだ。まだ幼いので真似事だが、一生懸命練習している。
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