いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
「たくさんプールに入って慣れたら水が怖くなくなると思う。顔も洗えるようになるよ」
「ほんとう?」
「ああ」

 力強い返事にうれしくなったのか、小春がにこりと満面の笑顔になった。

 散歩の後、少し時間が余ったので公園の遊具で三人を遊ばせた。

 裕斗と麻衣子は近くのベンチに座り、子供たちを見守る。

「裕斗さんって、子供の扱いになれているんですね。少し意外でした」

「いや、これまで小さな子と接する機会はほとんどなかった。子供たちに嫌われたくなくて必死だっただけだよ」
「本当に?」
「ああ。今日のために育児書を読んだり、俺なりに子供との接し方の勉強をしてきたけどね」
「そうなんですか……ありがとう」

 裕斗が真剣に子どもと向き合おうとしている意思を感じて、心が温かくなる。

「俺は麻衣子が泳げないのを初めて知って意外だった」
「そういえば、ロンドンでは泳ぐような機会はありませんでしたよね。でも意外というのは?」
「麻衣子はなんでもそつなくこなすから。あまり苦手なものがないイメージがあるんだ」

 裕斗の発言は思いがけないもので、麻衣子は目を丸くした。

「まさか。私なんて苦手なものだらけですよ」

 むしろ得意なものの方が少ないくらいだ。

(裕斗さんって、私のことを、よく見すぎじゃないかな)

「そんなことはないと思うが、水泳は俺が教えようか?」
「え? 私が水泳?」
「これから子供たちを連れて海に行くこともあるだろう? 泳げた方がいいんじゃないか?」
「そうかもしれないけど、今更できるのかな……」

 つい真面目に考えそうになり、はっとした。
 今の話では次の夏、裕斗と一緒にいるということになる。

「あの、子供たちのこと、どう思いましたか?」

 先のことを約束するような話はまだ出来ないと思い、話題を変える。

「三人ともいい子だな。大樹君は明るく元気で好奇心が旺盛だ。柚樹君も好奇心はあるようだが、冷静で一番精神年齢が高そうだ。小春ちゃんは大人しくて、可愛いな」

 裕斗はよどみなくすらすらと答えた。

「すごい……まだそんなに時間が経ってないのに、もう特徴をとらえているんですね」
「はっきりした個性があるからな。双子や三つ子は同じ環境で育つから似るものだと思っていたが、違っていたな」
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