いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
 翌週末。麻衣子は早朝に寮を出て特急電車に乗車した。

 裕斗がロンドンの下車駅にまで迎えに来てくれることになっている。帰りの時間を気にせずに観光を楽しみたいので、ホテルを予約してある。今日一日は裕斗に案内をしてもらい、明日はひとりでうろうろしてから、寮に帰るつもりだ。

 服装は悩んで、オフホワイトのワンピースにトレンチコート。足元は歩きなれたショートブーツにした。荷物は大き目のナイロンバッグに必要最低限のものをまとめた。

 特急電車の車窓の向こうに流れる景色を眺めながら、麻衣子は機嫌よく微笑んだ。

(楽しみだな……)

 観光もだけれど、裕斗と再会すると思うと心が弾む。

 たった一度会っただけの人が、どうしてこんなに気になるのだろうと自分でも不思議だ。

 あっさりと誘いを受けて出向くのも、自分らしくない気がする。

(亜里沙が紹介してくれた人だから安心感があるからだよね)

 そうやって納得したけれど、駅で裕斗の姿を目にした瞬間、胸の中に広がったのは安心感ではなくて、舞い上がるようなときめきだった。 どくんどくんと鼓動が高鳴る。

 裕斗は麻衣子に気づくと笑顔で近づいてきた。今日の彼はライトグレーのジャケットに、ウールのブラックパンツ姿とシンプルカジュアルで、スーツ姿とはまた違った魅力がある。

「おはよう」
「おはようございます。お待たせしてしまってすみません」
「それほど待っていないから大丈夫。行こうか」
「はい!」
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