いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
シーフード料理もなかなかなものだそうだ。。気楽にとの麻衣子の希望通り、店内の雰囲気は賑やかで楽しく感じるものだった。

「ビールがおすすめなんだが、苦手ながら他のものにした方がいい」
「せっかくなので、一杯目はビールにします」

 周囲を見回しても、ビールを頼んでいる人が多い。きっと料理に合うのだろう。
 裕斗が頼んでくれたのは、マッシュポテトやローストチキンなど、馴染みがある料理が多かったが、中にはイギリスの伝統料理など麻衣子が初めて口にするものもあった。

「美味しい! 地ビールも美味しくて、料理によく合いますね」
「好みに合ったようでよかった。ここにはよく来るんですか?」
「月に一度くらいかな。夕食は仕事中に済ませることが多いんだ」
「仕事が終わらないんですか?」

 外交官の仕事は相当ハードそうだ。

「赴任先での社交は外交官の役目だからね。レセプションも、財界人や政治家から招待されるパーティーも、スケジュールを調整して出席するようにしている」
「あ……そういう仕事ですね」

 パソコンに向き合い、必死に仕事をしているイメージが、たちまち霧散した。

「もしかして、ブラック企業のイメージをしていた?」

 裕斗が麻衣子の頭の中をのぞいたように、くすりと笑う。優しく細められた目に見つめられると、頬が熱くなった。

「そ、そんな感じです……あの、亜里沙の家のパーティーに参加していたのも仕事だったんですか?」

 なんだか恥ずかしくなって話題を変える。

「ああ。亜里沙さんのご両親と面識が有るんだ」
「そうなんですね」

(亜里沙のお父様が経営する会社の関係なのかな?)

 裕斗は外交官として、企業の外国進出にも関わっていると言っていたから、企業トップとも付き合いがあるのだろうか。

 改めて考えると、麻衣子とはあまりにステージが違っている。

(羽澄さんが優しいからといって、浮かれすぎないようにしなくちゃ)

 そんなことを考えていると、裕斗の声がした。

「雨村さん、もしよかったら明日も会わないか?」
「えっ?」
「午前中、観光の続きをすると言ってただろ? 俺も明日は休日なんだ」
「せっかくのお休みを二日も私に付き合って貰っていいんですか?」

 麻衣子としてはうれしい。ひとりの散策も楽しいけれど、ふたりだったらきっともっと幸せな気分になれるだろう。
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