いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
「もちろん。俺にとっても、気分転換になるんだ」
「では、お願いします」

 明日も裕斗と過ごせると思うと、頬が緩みそうになる。

 けれど、なぜ麻衣子に親切にしてくれるのだろう。

(私のことを、気に入ってくれたのかな?)

 そうだったらうれしいのだけれど。などと考えてはっとした。つい自分の都合のよい方に考えが向かいそうになっていたから。
 あれこれ考えるのは辞めよう。明日は素直に楽しめばいい。
 パブを出たあと、裕斗にホテルまで送ってもらった。翌朝もホテルまで迎えに来て貰い観光を楽しんだのだった。  
 



 ロンドン観光の日以降、裕斗から定期的に連絡がくるようになった。数日に一回メッセージが届き、麻衣子がそれに返信するのが習慣になった。

【今日は実習で、ブーケを作ったんです。思ったようにできなくて、悔しかった! 羽澄さんはどんなふうに過ごしましたか?】
【雨村さんは努力家だから、もう反省会をしたんじゃないか? 次はきっとうまくいくよ。俺は日本企業の工場の開設式典に出席して、ついさっき帰宅したところ】
【羽澄さんが、誘致に関わった企業ですよね! 開設式は感動だったんじゃないですか?】

 イギリス側との合意に至るまで苦労したと彼が言っていたのを思い出した。前向きで困難に強そうな彼が「大変だった」と言うくらいだから、相当ハードだったんだなと思う。でもやり切った達成感は大きなものだろう。

 思った通り、裕斗の機嫌が良さそうな声が返ってくる。

【実はガッツポーズをしたくなった。もちろん済ましていたけどね】
【ふふ……羽澄さんのガッツポーズ、見てみたかったかも】

 些細な内容でも彼からメッセージが届くと心が弾んだ。その度に欲張りになって声が聴きたくなる。けれど忙しく働いてきた彼に無理を言えないし、しつこくて迷惑と思われるのが怖い。麻衣子からは電話をしたいとも、もっと絵メッセージのやり取りを増やしたい
とも言えずにいる。
 そんな距離感が物足りなく感じるようになっていた。
 
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