いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
四月になって初めての週末。彼が暮らすロンドン市内のフラットに招待をして貰った。
日本食が売っているスーパーで食材を買い、一緒に昼食をつくることにした。
メニューは鳥の照り焼きとお味噌汁と白米に野菜の煮物。久しぶりのちゃんとした日本食だからか、それとも裕斗とふたりで作った料理だからなのか、思わず笑顔になるくらい美味しかった。裕斗も満足していて「大成功だね」とふたりで盛り上がりながら食べた。
食後は裕斗がコーヒーを淹れてくれた。
ふたりがけのソファに並んで座り、湯打ったりした時間を過ごす。
「そういえば羽澄さんって、英語以外も話せるんですか?」
「フランス語、ドイツ語はビジネスの場でも問題ない。中国語は日常会話程度かな」
「すごい!……どうやったらそんなにマスターできるんですか?」
「自然と身についていた。父の仕事の都合で海外で暮らしている期間が長かったんだ」
裕斗のネイティブ並みな発音と、体染みついたようなマナーは、幼い頃から積み重ねてきたものなのだと納得する。
(そういえば、子供のころの話はしたことがなかったな)
「お父様も外交官だったんですか?」
お互いのプライバシーに関するような、少し踏み込んだ質問は気がひけていたのだ。でも今は聞ける空気感だ。
「いや、商社で働いていたんだ。海外の支社を何か所か転勤で回っていて、最後にカナダ支社長を務めてから帰国した」
「支社長? すごい……でも、子供の頃に引っ越しが多かったのは大変でしたよね。言葉の壁もあるだろうし」
「いや、むしろ子供時だからこそ、早く馴染めたんだと思う。言葉の習得もそれほど苦労しなかったし、各国に友人ができた。当時知り合った友人は今さまざまな業界で活躍していて、助けられることも多いんだ」
「心強い仲間がたくさんいるんですね」
彼のように、それぞれの場で活躍しているのだろうか。
「そうだな。雨村さんにもいつか紹介するよ」
「楽しみです」
大切な友人を紹介してもらえるのは、彼との親しさの表れのように感じてうれしい。