いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
「雨村さんはどんな子供時代を?」
「私は本当に普通の家庭で育ちました。父は地元の企業に勤めていて、母は週三日、給食センターでパートをしていました。ふたつ下の妹がいます」
裕斗の子供時代の話を聞いた後だからか、麻衣子の環境はとても平凡だと感じる。特筆すべき点がないという感じだ。
「留学前は実家で生活を?」
けれど裕斗は興味深そうに、麻衣子の話を聞いている。
「そうです。母と妹と三人で暮らしていました」
「お父さんは?」
裕斗が少し怪訝そうな顔をした。
「あ……父は私が高校二年生のときに亡くなりました」
「そうだったのか……嫌な質問だったら悪かった」
裕斗が気まずそうに視線を泳がせた。
「大丈夫ですよ。ただ私の家族の話なんてつまらなくないですか? すごく普通だから」
「そんなことはない。関心があるよ」
「え……」
「雨村さんのことを、もっと知りたいから」
麻衣子の心臓がどくんと音を立てた。
裕斗の眼差しは、いつもの軽快なものではなく、真剣みを帯びた緊張をはらむものだったから。