いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
(私のことを知りたいだなんて……)

 そんなふうに言われたら、彼が麻衣子のことを好きなのではないかと。勘違いしそうになる。

(そんなことがあるはずないのに)

「あの、私は本当に平凡だから、これといって話すようなことがなくて……」

 彼の言葉に揺れる心をなんとか落ち着かせようとする。

 ところが、彼が続けた言葉で、麻衣子の思考は真っ白になった。

「雨村さんが好きだ。恋人になってくれないか?」

(うそ……裕斗さんが私を? そんなまさか……)

 けれど、勘違いをしようがないストレートな言葉だった。

「どうして、私なんか……」

 動揺のあまりつい本音を漏らしてしまうが、裕斗がすぐに否定する。

「初めて会ったときから、惹かれるものを感じていた。君は一見控えめだけれど、内心はとても強い人だ。自分に厳しく努力家なのに他人には優しい。前向きで思いやりがある君との時間を過ごしているうちに、何よりも大切な人になっていた」
「私はそんなできた人間じゃなくて、羽澄さんは誤解しています」

 なぜか裕斗は麻衣子を過大評価している。内面を評価してくれたのはうれしいけれど、彼が言うほど麻衣子はよい人間ではない。

 裕斗が少し困ったように微笑んだ。

「いくら謙遜しても俺の気持ちは変わらない。出会ってまだそれほど時間は立っていないけれど、俺は君のよいところを、自分の目でたくさん見ているから」

 裕斗がまっすぐ麻衣子を見つめる。その強い眼差しに、麻衣子は恥ずかしさのあまり思わず目をそらしてしまった。

 心臓がどくどくと波打っている。 正直言ってとてもうれし。彼に好意を寄せられて飛び上がりたくなるくらい喜
んでいる。

 それでも理性が、感情のまま振る舞いそうになる心を制止する。
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