いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!

「でも……私は羽澄さんに相応しくないんです」
「どうしてそう思うんだ?」
「羽澄さんは外務省の職員で、大使館に勤務しているエリートだから。でも私は留学するために仕事を辞めてしまっているし家柄もよくないです、学歴も高卒だし……」

 話しているうちに、どんどん暗い気分になっていく。

 これまで自分なりに一生懸命日々を過ごしてきた。その時々で悩み選択して、今の自分があり、後悔したことなど一度もなかった。
 けれど今、裕斗と比べるとあまりに何もない自分自身に居たたまれなさを感じている。

 エリート商社マンの父親がいる家庭で育ち外交官になった彼には、同じような環境で育った女性が似合うだろう。

 亜里沙が招待してくれたホームパーティーには、明らかに上流階級の人々が集まっていた。麻衣子は自分は場違いだと感じたが、裕斗は馴染んでいるように見えた。

 ふたりの間には明確な違いがある。友人同士ならばいいけれど、恋人になるのは無理がある。これまで何度も考えたことだ。

 けれど裕斗は「そんなことは関係ない」と、麻衣子の心配をひとことで蹴散らしてしまった。

「俺がパートナーに求めているのは、家柄や学歴といった表面的なことじゃない。尊敬できて、この先も一緒にいたいと心から思える相手。それが君なんだ。だから本当の気持ちを答えて欲しい」

 裕斗が真剣な目で麻衣子を見つめる。

「雨村さんは俺をどう思っている?」

 ふたりの視線が重なり合う。
 その瞬間心が震えた気がした。

 無理だ。嘘なんてつけない。拒否なんてできるわけがない。 
 麻衣子はかすれた声を出す。
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