いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
 おそらくほとんどが亜里沙のような子供の頃からしっかりした教育を受けて成長した両家の子女。少なくとも麻衣子のように高卒で上流階級の人々との接点を何一つも持っていない者はいないはずだ。

 麻衣子は外交官の裕斗にとって、決してよい条件の女性とはいえない。同僚のパートナーと比べて見劣りするだろう。

 彼にプロポーズをされた訳ではないのだから、麻衣子の考えは飛躍しすぎているのかもしれない。もっと軽く受け取った方がいいのかもしれない。

 けれど麻衣子が知っている裕斗の人柄やこれまでの言動を鑑みると、ひとときの遊びで交際を申し込んでくるとは思えないのだ。
 少なくとも前向きに考えてくれているはず。それなのに……。

「本当に私なんかでいいんですか?」 

 彼はいつか後悔するかもしれない。

 身を引いた方が彼の為になると頭では分かっている。けれど彼を愛する気持ちが大きくて、抑えられない。

(私でいいんだって、言ってくれたら……)

 ずるい言い方をしていると分かっている。それでも彼の口から聞けたら自信が持てる。

「後悔するとしたら、雨村さんを振り向かせることが出来なかったときだ。君は素晴らしい女性で、俺は縋っても側に居て欲しいと思っているんだ。だから二度と”私なんか“とは言わないで欲しい」

 裕斗の目は真剣だった。彼の真心と好意を痛感し、麻衣子の胸の奥に喜びが生まれ広がっていく。不安が明るい希望に塗り替えられて、麻衣子は心からの笑顔になった。

「ありがとうございます……すごくうれしい。羽澄さんの言葉で自信が生まれてきた気がします。二度と自分を卑下するようなことは言いません」

 それは麻衣子を選んでくれた裕斗に対する侮辱でもあると気が付いたから。

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