いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
麻衣子はその様子を、ぼんやりした気持ちで見つめていた。
(ついこの前まで、元気だったのに)
新しい家に引っ越しをしたら、一緒に家庭菜園をしようと約束をした。
その願いはきっと叶わない。今のところ退院できるかも分からないのだから。
愛情深かった母との思い出が蘇り、ずきんと胸が痛む。
目の奥が熱くなり、麻衣子は俯いた。
翌日、藤倉氏の代理人が、高額の見舞金を持ちやってきた。
母の回復を祈ると言っていたが、和解を急かす様子から、早く関係を切りたがっているのは明らかだった。母の急変を厄介だと思っているのだろう。
そんな人たちと関わりたくなくて、麻衣子も和解に応じた。
引っ越し後は一歳の連絡を絶つ。母を恨んでいる玲人が引っ越し先と母の入院先を探せないように、藤倉議員が対策を取るとのことだった。任せておけば、滞りなく進むのだろう。
麻衣子の環境は激変するけれど、生きていくのに問題はない。
(裕斗さんに連絡しなくちゃ。お母さんと引っ越しのことを説明して……)
ずっと電話できなかったから、心配をかけてしまっているだろう。
彼は麻衣子に関しては酷く心配症だから。いつも大切に想ってくれていて……不意にプロポーズをして貰った日のことを思い出した。これからも一緒に生きていこうと約束をした幸せの絶頂だった瞬間――。
(私……このまま裕斗さんと付き合っていいのかな?)
彼の未来に麻衣子は本当に必要なのだろうか。
(私は、いない方がいいんじゃないの?)
浮かんだ考えに、真冬の外に放り出されたような心細さがこみ上げた。
それから数日後。麻衣子は裕斗に電話をした。
今日、裕斗に別れを告げるつもりだ。
これからも彼の側に居たかったけれど、どう考えてもふたりで生きる未来はない
有力な政治家に目をつけられ、その息子には逆恨みをされている。生涯寝たきりになるかもしれない母の面倒を見ていく麻衣子は、最大限都合よく考えたとしても、裕斗の負担にしかならない。
この先も外交官として華々しく活躍する裕斗のパートナーになるのは、なんの憂いもなく彼を支えられる女性であるべきだ。
真実を話したら、彼は麻衣子を助けようとしてくれるかもしれない。いや、きっとするだろう。でもその行動は彼の為にはならない。
(ついこの前まで、元気だったのに)
新しい家に引っ越しをしたら、一緒に家庭菜園をしようと約束をした。
その願いはきっと叶わない。今のところ退院できるかも分からないのだから。
愛情深かった母との思い出が蘇り、ずきんと胸が痛む。
目の奥が熱くなり、麻衣子は俯いた。
翌日、藤倉氏の代理人が、高額の見舞金を持ちやってきた。
母の回復を祈ると言っていたが、和解を急かす様子から、早く関係を切りたがっているのは明らかだった。母の急変を厄介だと思っているのだろう。
そんな人たちと関わりたくなくて、麻衣子も和解に応じた。
引っ越し後は一歳の連絡を絶つ。母を恨んでいる玲人が引っ越し先と母の入院先を探せないように、藤倉議員が対策を取るとのことだった。任せておけば、滞りなく進むのだろう。
麻衣子の環境は激変するけれど、生きていくのに問題はない。
(裕斗さんに連絡しなくちゃ。お母さんと引っ越しのことを説明して……)
ずっと電話できなかったから、心配をかけてしまっているだろう。
彼は麻衣子に関しては酷く心配症だから。いつも大切に想ってくれていて……不意にプロポーズをして貰った日のことを思い出した。これからも一緒に生きていこうと約束をした幸せの絶頂だった瞬間――。
(私……このまま裕斗さんと付き合っていいのかな?)
彼の未来に麻衣子は本当に必要なのだろうか。
(私は、いない方がいいんじゃないの?)
浮かんだ考えに、真冬の外に放り出されたような心細さがこみ上げた。
それから数日後。麻衣子は裕斗に電話をした。
今日、裕斗に別れを告げるつもりだ。
これからも彼の側に居たかったけれど、どう考えてもふたりで生きる未来はない
有力な政治家に目をつけられ、その息子には逆恨みをされている。生涯寝たきりになるかもしれない母の面倒を見ていく麻衣子は、最大限都合よく考えたとしても、裕斗の負担にしかならない。
この先も外交官として華々しく活躍する裕斗のパートナーになるのは、なんの憂いもなく彼を支えられる女性であるべきだ。
真実を話したら、彼は麻衣子を助けようとしてくれるかもしれない。いや、きっとするだろう。でもその行動は彼の為にはならない。