いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!

 それぞれはっきりした個性を持つ三つ子は、現在三歳五か月の保育園児だ。

 大樹と柚樹は一歳から、小春は二歳から預け、その間麻衣子は、ショッピングセンター内の花屋でフローリストとして時短勤務をしている。

 生花の管理に接客対応、フラワーアレンジと店内のディスプレイが主な仕事内容だ。

 将来的には正社員として働きたいが、それは子供がもう少し大きくなって、小春の健康面でも安心できるようになってから。

 経済的に余裕はないけれど、行政の助成金や、絵麻のフォローもあり今のところなんとかなっている。引っ越しをして四年が経ち、近所に気軽に会話ができる知り合いが増えたし、パート先の同僚との付き合いも順調だ。

 不安いっぱいでスタートした三つ子との生活。

 赤ちゃんの頃は三人の世話が大変で、日々が戦場にいるようだったけれど、今ではだいぶ落ち着き多少心の余裕が出来た。

 可愛い子供たちの笑顔と、周囲の優しさに支えられて、自分は恵まれているなと感じている。

 それでも、大好きだった彼との日々を、今でもふとした拍子に思い出す。

 希望を抱いて留学した異国で知り合い、心を重ねた大切な人。

 あれからもう何年も経つのに、未だに彼の笑顔が鮮やかによみがえる。

 どんなに悲しい記憶も、時間と共に薄れていくと聞いたことがあるけれど、麻衣子に限っては当てはまらないようだ。

(だって今でもまだこんなに胸が痛くなるのだもの)

 今彼はどうしているのだろう。まだロンドンで働いているのだろうか。それとも他に国に異動になった?

 結婚はしたのだろうか。彼はとてももてたし、仕事柄出会いが多かった。きっと今頃幸せに暮らしている――。

 もう知る術はないのに、今もまた取り止めもなくそんなことばかり考えている。

 そしてずきずきと胸が痛くなる。裕斗の幸せを願って別れたのだから、彼が幸福ならそれに越したことはないはずなのに。

(もう考えるのはやめなくちゃ……) 
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