いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!

 十月下旬の月曜日の午後十一時。麻衣子は小春を連れて、最寄り駅近くの【青海(おうみ)総合病院】を訪れた。

 小春は生後一か月の検診で心臓に小さな穴があるのが見つかった。

 病名は心房中核欠損症。本来はお腹の中でふさがるはずの穴が開いたまま生まれてしまう子が稀にいて、小春もそのひとりなのだそうだ。

 いくつか治療方法があるが、小春の場合は穴の大きさが小さめなため、成長するにに連れて自然と塞がる可能性があるとのこと。

 今のところは経過観察中で、定期的に検査をする為に通院している。

 検査は半年に一度だが、小春は虚弱で頻繁に熱を出したりお腹を壊すから、月に一度は病院にお世話になっていて、母娘共に病院通いに慣れている。

 受付を済ませ、小春の小さな手を引きながら小児心臓外科に向かう。

 駅前の再開発に合わせて五年前に再建されたこの青海病院はまだ新しい。スタイリッシュな内装と充実した設備。病院内にカフェがあり、販売しているシュークリームなどのスイーツも絶品だと評判だ。麻衣子も何度か食べたが、本当に美味しい。

「ママ、シュークリームたべたいの」

 小春もお気に入りで、店の前を通るときに麻衣子の手をぎゅっと握って、おねだりしてきた。

 期待に満ちた丸い目で見上げられると、あまり甘やかしてはいけないと思いつつも、無条件でお願い事を叶えてあげたくなるが、麻衣子は心を鬼にした。

「シュークリームは検査をしてからにしようね」
「でも、はる、おなかすいたの。おなかがぐーぐーなってるの」

 小春が小さな手でお腹を押さえる。

「先生と約束しているでしょう? 待たせたらだめだよ」
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