いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
「小春ちゃん、こんにちは」
声の主は、二年前から小春の主治医を務めてくれている夏目(なつめ)涼(りょう)介(すけ)医師だ。
少し癖があるライトブラウンの髪に、ブラウンの瞳。生まれつき色素が薄いのが分かる、透明感のある白い肌で彫が深い顔立ちなので外国の血が流れているように見えるが、純粋なな日本人だと麻衣子は知っている。
白衣姿でも華やかな彼は、偶然だが麻衣子の中学時代の同級生だ。
男女別ではあるものの、同じバスケットボール部に所属していた。かなり仲良くしていたが、進学して別の学校になってからは疎遠になっていた。
医師と患者の母親として再会したときは驚いたけれど、小春の病気で悩んでいた麻衣子にとって、心強いものだった。
「なつめせんせい、こんにちは」
小春は麻衣子から手を放し、小さな体でぺこりとおじぎする。
小児科医の医師である夏目は子供の扱いに慣れている。元々の顔立ちが柔和で優しい雰囲気だからか、小春は珍しく初対面でも警戒しなかった。今ではすっかり彼に懐いている。
「今日も検査、頑張ろうな」
夏目は小春に笑顔を返すと、麻衣子にもちらりと視線を向ける。
「いつも通りの検査だから心配要らない」
「ええ、よろしくお願いします」
夏目は麻衣子を安心させるように微笑んだ。
再会して麻衣子が未婚で三つ子を産み育てていることを知った彼は、ひどく驚愕していた。
きっと、なぜそんな事態になっているのかと思ったのだろう。
けれど、事情を根掘り葉掘り聴いてくるようなことはなかった。