いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
 小春は素直にうなずくと、きょろきょろと視線をさまよわせた。

「シュークリーム、二こしかないね」
「本当だ。売り切れちゃったのかな」

 麻衣子の言葉に小春がしゅんとする。

「だいちゃんと、ゆずちゃんの、どうしよう」

 どうやら兄ふたりの分が足りないと困っているようだ。麻衣子は胸の中が温かくなるのを感じながら、腰をかがめた。

 小春との目線を合わせて、一緒にショーケースを見る。

「他にも美味しそうなのがあるね。だいとゆずには違うのを選んであげようか」

 ふたりに好き嫌いはないし、小春が選んだらきっと喜んで食べるはずだ。

「うん!……だいちゃんは、チョコで、ゆずちゃんはまるいのにする」

 小春が張りきった様子で、チョコレートのカップケーキと、ロールケーキを選ぶ。

「ママのはどうしようかな? ママ、あんまりあまいのたべないでしょ?」

 こてんと首をかしげる娘が可愛らしい。

「そんなことないよ。ママも甘いの大好き」
「それじゃあ、はるがえらぶね! えまちゃんのも!」 

 その後、麻衣子用に選んでもらったモンブランを購入して、出入口に向かう。そのとき。

「麻衣子」

 名前を呼ばれて振り向くと、夏目が近づいてくるところだった。
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