いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!

 以前から、夏目と楽しそうに遊ぶ大樹たちを見る度に、父親が居たらと思っていた。

 保育園に通うようになってから、三つ子は友達の家にはパパがいると知った。なぜ自分たちにはいないのだろうと疑問を感じているはずだ。

 一度、小春から聞かれたことがある。大樹と柚樹も麻衣子の答えを知りたそうにじっと見つめていた。

(あのとき私は、お父さんは会えないところにいると言ったんだった)

 他に言いようがなかった。いつか会えると答えたら子供たちは喜ぶだろうが、期待させて裏切る方が残酷だ。そんな嘘は吐けなかった。

「今まで麻衣子を放っておいた男に、三つ子の父親が務まると思うのか?」

 夏目は少し怒っているように感じた。

「別れたとき、私が連絡が取れないようにアドレスを変えたりしたから、向こうからは連絡が取れなかったの。彼に父親が務まるかは分からないけど、無理強いするつもりはないんだ。出産したことを黙っていた私が悪くて、彼は被害者のようなものだから」

「そんなことはないだろ? 妊娠は麻衣子ひとりじゃできない。可能性があるのは相手だって分かっていたはずだ。それなのに放置していたのは無責任じゃないか?」

 夏目が声を荒げた。

「夏目君、どうしたの? 私、何か気に障るようなことを言った?」

 いつも温厚な彼らしくない。麻衣子の言葉に夏目ははっとしたように口を噤み、怒りを捨てるように息を吐いた。
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