まだ誰も知らない恋を始めよう

48 衝撃発言に嬉し涙も止まるわたし

 叔母は、悪臭の持ち主(つまり悪意を持った人物=メイトリクス?)とわたしとの交際をやめさせようと、説得するつもりみたいだ。


「モーリスは確か、見える力を持ってたわね。
 あの子に会わせたら、反対されたのでしょう?
 それで、わたしに協力を頼みに来たのだとしたら、無理よ、無理!
 貴女だって、読めて人の心が分かるのに、どうしてこんな普通じゃないレベルの人と……」

「……いや、それは多分……」

 わたしがメイトリクスと同じ匂いをさせていて、それは会っているからだろう、と言うあり得ない叔母の言葉に、思い当たるとすれば。

 メイトリクスから魔法を掛けられたフィンだ。
 オルくんが言っていた。
 魔法には掛けた人間の匂いが残る、と。
 フィンの姿は見えなくても、彼からはメイトリクスの匂いがぷんぷんする、って。
 恐らく、その匂いがフィンからわたしに移ったとしか思えない。

 
「多分?」

「いえ、安心してください。
 わたし、今は誰ともお付き合いしていません。
 さっきの紙切れも渡された物で、本人とは会った事も無いです。
 先ずはこれまでの話を聞いてください」


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