まだ誰も知らない恋を始めよう
「何とまあ、いけ好かないチビ!」

「黙っていたら、凄い美少年なんですけど」

「その、ジェリーさん?
 彼女に振られちゃえばいいのにね」

 そうなれば面白いとわたしも思うけれど、ヤケになったオルくんが外れになったら大変なので、頷くだけにした。
 叔母もそれ以上、本心からではないチビの悪口を続ける気は無いのか、真面目な表情に変わる。


「わたしが協力しなければ、どうするの?」

「こっちで何とかします」

 貴女に断られたから、父を頼るとは叔母には言いたくない。
 嫌でも協力させる事になる。


「……こっちで何とか? 貴女やモーリスにあるのは、相手の顔から見えたり、読めたりする力であって、さっきの紙からは何も感じないんでしょう?
 それで、どうやって姿を変えて逃げてる外れを特定出来るの?
 わたし以外のマッカーシーの女の協力は期待出来ないわよ?」

「……それは……その、何とかします」

「……そう、何とかなるのね。
 あの帰ってこない父親に頼み込む、とか?」

 また、大きくため息をつかれた。
 あぁ、こっちで何とかするなんて言ったから。
 叔母からの協力は駄目だった。
 泣いて見せれば良かった?
 床に頭を擦り付けて、頼めば良かった?
 だけどそんな事したら、叔母に無理矢理協力させる事になる。

 
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