まだ誰も知らない恋を始めよう
 以上を叔母に説明すると。


「わたし、明日は有給取ります!
 ダニエルの仕事は?」 

 と宣言と確認もされた。


「わたしはお休みですけど。
 そんな、有給を取らなくても夕食会だし」

「朝からドレスレンタルの店に行くわよ。
 ペンデルトンの者共も納得のドレスを見繕うわ。
 華やかだけど派手過ぎず、上品かつ若々しいのをね。
 いずれは貴女も、何着か用途に合わせたドレスを作らなくてはいけないけど、今回は間に合わないものね、レンタルで我慢してね」

 明日の夕食会に必要なら、借りるのはいいけれど。
 
 
「ドレスを作る必要は無いのでは?」

 わたしは社交界には無縁だし、あちらもわたしを呼ばないのに。


「それについては、貴女の父親とも要相談ね。
 まあ、明日はわたしに任せてね」

 と言う前日のやり取りを経て。
 午前中をまるまる費やしたドレス選びからのあれこれがあって、その後が今、だ。


 これからメイトリクスに会う(かもしれない)し、ペンデルトン氏が意味ありげに微笑んだもう1人も誰だか気になるし。
 車中のわたしは、華やかな場にご招待されたと言うのに、行く前から疲れていた。


 夕方の渋滞も考慮した約束の時間通りに、ペンデルトンホテルの正面入口前に到着した。

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