まだ誰も知らない恋を始めよう
「ステラに会って、何を確かめたかったの?」
 
「ダニエルには気付かれたんだな。
 こんな言い方は、君の友人に失礼極まりないんだけど……彼女はロジャーのタイプに思えなかった。
 あいつはこれまで、えー、そうだな、外国語学部のマーゴット・クレイズって分かる?」


 マーゴット・クレイズは大学の有名人で。
 ペンデルトンガールズのチームリーダーみたいな美女だ。
 わたしが頷くと、フィニアスは言いにくそうに続けた。


「マーゴットはペンデルトンの重役の娘で、俺やロジャーにとっては幼馴染みたいな存在で、ロジャーはずっとマーゴットが好きだった。
 それで俺が知る限り、彼が今まで交際してきた女性達の見た目は、全員マーゴットに似ていたんだ。
 つまり、金髪に緑色の瞳の派手な感じの……」


 多分、今わたしとフィニアスの頭の中に浮かぶ画像は同じだと思う。 
 可愛いけれど、特に目を引く派手さは無いステラ・ボーンズと。
 ゴージャスで、目鼻立ちのはっきりしたマーゴット・クレイズ。

 ロジャー・アボットの好みが、これまで一貫してマーゴットタイプだったのなら、どうしてステラを彼は……

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