内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。

 翌朝、いつもより早く目覚めた蒼佑は食堂に向かった。

「おはようございます、旦那様」
「おはよう、小牧さん」

 小牧は蒼佑がやって来るとすかさずコーヒーをテーブルに置いてくれる。
 帰りの時間が不規則で一緒に夕食をとれないことも多いため、いつも朝食にはできるだけ顔を出すようにしている。

「おはようございます、蒼佑さん」
「おはよーごじゃいましゅ!」
「おはよう藍里、璃子」

 蒼佑が着席してから遅れること十五分。藍里と璃子が食堂に姿を現す。
 自らチャイルドチェアによじ登る璃子にすかさず手を貸してやる。
 最近はなんでも自分でやりたがるので、ますます目が離せない。
 無事に着席したのを見届けたあと、ふと目線を上げると何気なく藍里と目が合う。
 昨夜の抱擁と口づけでも思い出したのか、恥ずかしそうに俯き目を逸らされる。

「どうした?」
「な、なんでもありません……」

 誤魔化そうとしても、頬には朱が差し込んでいる。
 藍里はその後もカトラリーを落としたり、ウインナーを喉に詰まらせそうになったり、いつもらしくない行動が続いた。

「平気か?」
「だ、大丈夫です!」

 赤くなったり青くなったり、璃子以上の百面相だ。
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