内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。
「三角さんと結婚したのなら、当然絵のありかも知っているんだろう? それともまだ藍里の手もとにあるのか?」
しつこく尋ねられて、嫌な予感がした。
「なぜ絵のありかを知りたいの?」
「実はなあ……倍の値段を出すから、どうしてもあの絵が欲しいって人がいるんだよ」
譲治はぱあっと目を輝かせながら、うきうきとした口調で話した。
サーっと血の気が引いていき、今にも目眩がしそうだった。
(なにを言っているの?)
一度蒼佑に絵を売ったというのに、性懲りもなくまた父の絵を売るつもりなのか?
藍里は力なく椅子に座り直し、辛うじて小さな声で尋ねた。
「絵を売ったお金はどうしたんですか?」
「そんなのもう使ってしまったよ。でもな、もっと利益を出すには沢山お金がいるそうなんだ。藍里からも三角さんを説得してくれないか? 儲けた分は折半でいいからさ」
「ふざけないで!」
自分勝手な物言いにとうとう譲治を怒鳴りつけてしまう。