内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。
「叔父さ――」
藍里が再度説得を試みたそのとき、どこからともなく火災報知器がけたたましく鳴り始めた。
「どうした?」
「いったいなにが……」
いつまでも鳴り止まないベルの音に、譲治と藍里もその場で呆気に取られる。
すると、パジャマ姿の璃子の手を引いた小牧が何事かを叫びながら廊下を走ってくる。
「大変です、奥様! 火事です!」
「火事ですって!?」
「ママ〜?」
璃子はまだ寝ぼけているのか、欠伸をしながら目を擦っていた。
「とにかく外へ!」
藍里は眠気眼の璃子を抱っこしながら、廊下を駆け抜ける。譲治もあとからついてくる。
四人はほうぼうの体で屋敷の外へ避難した。