内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。
8.この愛は永遠に
(いったい、なにがどうなっているの?)
理解が追いつかないまま屋敷の外に避難した藍里たちは、茫然としながら火の手があがる屋敷を眺めていた。
出火元は一階の厨房近くのようで、西側からオレンジ色の火と真っ黒な煙が立ち込めている。
「屋敷にいたのはこれで全員ですか?」
「はい。他の使用人は全員帰ったあとだったので」
逃げ遅れた人がいないのを小牧に確認すると、ホッと胸を撫で下ろす。
屋敷中にいた人間全員が速やかに外に避難できたのは不幸中の幸いだった。
「消防には先ほど連絡しました。すぐに来ると思います」
火の勢いは止まることを知らず、藍里は為す術なく燃え盛る屋敷を見ているしかなかった。
(なぜ突然火の手が上がったの?)
消防車の到着を待っていたそのとき、見慣れた車が丘を駆け上ってくる。
「藍里、璃子!」
藍里たちのそばに停車すると、蒼佑がふたりの名前を呼びながら車から下りてくる。
「蒼佑さん!」
「無事でよかった……」
蒼佑は着の身着のままの藍里と璃子を力いっぱい抱き締め、安堵のため息をついた。
彼が来てくれたらもう大丈夫だと、安心したのも束の間、藍里はハッと気がつく。