内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。
「蒼佑さんが無事でよかった……」
藍里は人目もはばからずハラハラと涙を零しながら蒼佑の帰還を喜んだ。
彼を失ってしまうかと思ったら本当に怖かった。
目立った外傷もなく自力で歩ける蒼佑だったが、絵を取りに行く途中で煙を吸い込んでいたため、念のため病院に搬送されることになった。
「すみません、小牧さん」
「いいえ。今は旦那様に付き添ってください」
彼ひとりを病院に行かせるのが心配で、藍里も璃子と一緒に付き添うことにした。
その間、消防の対応を小牧ひとりに任せなければならず、申し訳なさで胸がいっぱいになる。
藍里は小牧に頭を下げると、今度は消火活動をぼんやり眺めている譲治の腕をむんずと掴んだ。
「叔父さんも一緒にきて!」
「え!?」
本来、譲治は屋敷の中にいてはならぬ存在だ。部外者である彼の姿を誰かに見咎められても困る。
「なんで私まで……」
譲治はぶつくさ文句を言っていたが、それでも一緒に車に乗り込み、病院までついて来てくれた。